このページの要点
- 関与するのは建築設計者・照明デザイナー・インテグレーター・電気設備設計者の4者。着手時にこのページを共有し、役割分担のたたき台にする
- 器具選定・調光方式・回路分割計画・シーン設計は照明デザイナーの責務。インテグレーターは決めない
- 照明器具メーカーに照明設計を依頼する場合は、未カバー範囲を誰が担当するかを着手前に必ず決める
スマートホームのプロジェクトには、次の4者が関与します。このページは照明に関する範囲で、各ロールの責任を明示し、関係者間の認識を揃えるための参照資料です。プロジェクト着手時に4者で共有し、役割分担のたたき台としてお使いください。
プロジェクトで最も注意を要するのは、照明器具メーカーに照明設計を依頼するケースです。
- まず依頼先の照明器具メーカーにこのページを渡し、どこまで対応可能かを確認してください
- メーカーが下記の「照明デザイナーが決めること」のすべてをカバーできない場合は、未カバー範囲を誰が担当するかを着手前に必ず決めてください
- 特に次の項目は抜け落ちやすいため、確認が必要です
- 調光方式の選定(DALI を第一選択とする判断)
- 位相・PWM・ON/OFF 器具の回路分割計画
- シーン設計、キーパッド割付
- スマートホームに組み込むか否かの判断
この確認を怠ると、実施設計の後半〜施工段階で「誰も設計していない範囲」が発覚し、大幅な手戻りや工期遅延の原因になります。
4者の責任領域
| ロール | 照明に関する主な責任領域 |
|---|---|
| 建築設計者 | スマートホーム組み込み方針の決定、オーナー要望・予算の集約、スイッチ・キーパッド位置の建築意匠要件の提示 |
| 照明デザイナー | 配灯計画、器具選定、調光方式の決定、回路分割計画、シーン設計、キーパッド割付 |
| インテグレーター | Lutron システム設計、制御盤設計、プログラミング実装、試運転・コミッショニング |
| 電気設備設計者 | 分電盤構成・Lutron 制御盤一次側回路の確保、位相・ON/OFF・PWM タイプ器具への分電盤から Lutron 制御盤への回路割り当て設計、DALI 系統の並列分岐設計、配線ルート設計、VVF 仕様の判断 |
電気設備設計者は、分電盤構成・配線ルート・VVF 仕様・DALI 系統分割などを「設計」する立場です。電気工事業者は、その設計図書に従って実際の配線・盤設置・試験を「施工」する立場です。このページでは、設計の意思決定に関わる4者のひとつとして電気設備設計者を扱っています。
どのフェーズで誰が主導するか
| フェーズ | 建築設計者 | 照明デザイナー | インテグレーター | 電気設備設計者 |
|---|---|---|---|---|
| 企画・基本構想 | ◎ | ○ | ○ | – |
| 基本設計 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| 実施設計 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 施工監理 | ○ | △ | ○ | ◎ |
| 試運転・コミッショニング | △ | ○ | ◎ | ○ |
凡例:◎ 主導 / ○ 関与 / △ 確認 / – 関与なし
フェーズごとの受け渡し資料は フェーズ別の進め方 をご覧ください。
各ロールが決めること
建築設計者
- スマートホームに照明を組み込むスコープの確定(全室組み込みか、一部のみか)
- オーナーの要望・予算感の集約と、照明デザイナー・インテグレーター・電気設備設計者への伝達
- スイッチ・キーパッドの建築意匠側の要件(壁面仕上げ、設置高さ、プレート仕様)
- 各設計者(照明デザイナー・インテグレーター・電気設備設計者)の発注スコープと窓口体制
- プロジェクト全体のスケジュールと意思決定のマイルストーン
- 制御盤の設置場所の最終決定(意匠・動線・保守性の観点から。寸法の概算はインテグレーターが基本設計段階で提示します)
照明デザイナー
- 配灯計画図(平面に器具シンボル)の作成
- 照明器具の選定(メーカー名・型番・台数)
- 各器具の調光方式の決定
- DALI を第一選択とします(スマートホームプロジェクトにおいて、コスト・運用面で最適)
- DALI 非対応の器具については、位相制御/PWM/ON/OFF のいずれかを選定します
- 位相制御・PWM・ON/OFF 器具の回路分割計画(制御単位 = 配線単位)
- スマートホームに組み込むか否かの判断(人感センサー単独で完結する器具は組み込まない、など)
- オーナーの意向に基づく照明シーンの設計
- 建築設計者と協議のうえでのスイッチ・キーパッド配置とボタン割付
調光方式と回路分割の考え方は 照明設計の注意点 で詳しく説明しています。
インテグレーター(スマートライト)
- Lutron HomeWorks のシステム設計(プロセッサ構成・ネットワーク・出力モジュール選定)
- 制御盤の設計
- Lutron 制御盤の機器構成・出力モジュール仕様の、電気設備設計者への提示
- 照明デザイナーのシーン設計に基づくプログラミング実装
- 試運転・コミッショニング
電気設備設計者
- 分電盤構成の設計(Lutron 制御盤への独立回路の確保、DALI 器具用電源回路の設計)
- Lutron 制御盤一次側回路の確保
- 位相・ON/OFF・PWM タイプ器具への、分電盤から Lutron 制御盤への回路割り当て設計(照明デザイナーの回路分割計画に基づく)
- DALI 系統の並列分岐設計(直列20台未満の系統分割計画)
- 各種配線仕様の電気的判断
- 分電盤〜Lutron 制御盤〜各器具までの配線ルート設計
配線ルールの詳細は、電気工事業者向けの 配線ルール と 制御盤の設置と電源 にまとめています。
回路分けの責任分担(照明回路)
照明回路の区間ごとに、誰が論理設計・仕様提示を行い、誰が電気設計を行い、誰が施工するかを整理した表です。
| 区分 | 論理設計・仕様提示 | 電気設計 | 施工 |
|---|---|---|---|
| 分電盤 → Lutron 制御盤の 100V 回路 | インテグレーター(機器構成・出力モジュール仕様を提示) | 電気設備設計者(必要回路数・想定負荷・VVF 仕様を決定) | 電気工事業者 |
| 分電盤 → DALI 器具の 100V 回路 | 建築設計者・照明デザイナー(配置と系統) | 電気設備設計者 | 電気工事業者 |
| Lutron 制御盤 → ON/OFF・位相・PWM 器具 | 照明デザイナー(制御単位を決定) | 電気設備設計者(回路割り当て) | 電気工事業者 |
| Lutron 制御盤 → DALI 器具の信号線 | 電気設備設計者(直列20台未満の並列分岐設計) | 電気設備設計者(配線ルートに反映) | 電気工事業者 |
「論理設計・仕様提示」の列には、制御単位の決定(照明デザイナー/電気設備設計者)に加えて、インテグレーターからの機器・出力モジュール仕様の提示も含みます。